東京都市大学
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地域社会との連携に関する取り組み

活動報告

「上野の森親子ブックフェスタ2019」で、人間科学部児童学科 原田留美教授が講演しました

2019年5月3日(金・祝)〜5日(土・祝)、東京の上野恩賜公園噴水広場周辺で、「上野の森親子ブックフェスタ2019」(主催:子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、一般財団法人出版文化産業振興財団)が開催されました。

出版社の出展による、約5万冊に及ぶ絵本・児童書を中心とした書籍販売会と並び、噴水広場に隣接する東京都美術館講堂では講演会が催され、5月3日には、本学人間科学部児童学科の原田留美教授(専門分野:上代文学、児童文学、お話遊び)による、「子どもにとってお話は本当に大事?なぜ? ―物語の力と『燕語りの会』ライブ―」と題する講演が行われました。

原田教授からは、小さい子どもにとっての物語の大切さについて、第一に、お話や物語を遊びに取り入れることで、モノでの一人遊びから友だちと一緒に楽しむ遊び方に変わり、人間関係を育む素地となること。第二に、お話や物語は言葉の背後や言葉と言葉の間にあることを読みながら楽しむものであり、想像力、とりわけ人の思いや考えを理解する力を育むものであること。第三に、お話や絵本の読み聞かせは、物語の語り手・読み手と聞き手の間に絆が生じやすく、そのため子どもにとっては語りてや読み手を独占し、愛されていると実感しやすい遊びであること。したがって親をはじめとする大人が愛情をもって読んだり話したりすることが大切であることが、保育園などでの実例とともに、説明されました。

そして、原田教授は、子どもたちがお話の世界を十分に楽しむためには、まず、「絵本の読み手、物語の話し手である大人がお話の楽しさを知ることが大切」と述べ、生で聞く語りの素晴らしさを来場者に体感してほしいということで、新潟県燕市・新潟市等で昔話を語る活動に取り組んでいる「燕語りの会」の鈴木初江さん、近嵐京子さんが登壇、お二人から昔話が語られました。

鈴木さんからは、昔話「かしの木」と「風の神と子ども」が新潟の言葉で、近嵐さんからはスペインの昔話「明かりをくれ!」が語られました。情景が目に浮かぶような語りに来場者は物語の世界に引きこまれ、文字で読むのとは異なる、語りのもつ力を実感しました。

続く質疑応答の時間には、語りや読み聞かせの実践に取り組んでいる来場者から、練習の仕方、物語の選び方、方言と標準語の語りの違い、語りと絵本の読み聞かせの違いなど多くの質問が寄せられました。お二人からは「どのようなお話、絵本であっても、自分が聞き手に届けたいと思う作品を選ぶことが大事」などの回答があり、原田教授からも「絵本も語りもそれぞれ価値があるが、語りは語る人がいて成立するものだけれども、絵本はやがて自分で読むようになっていくもので、さらに幼年文学、児童文学につながっていくものでもある」といったコメントが加えられました。質疑応答は時間が許す限り続き、充実した時間となりました。

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