東京都市大学
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地域社会との連携に関する取り組み

活動報告

都市生活学部の学生が、未来の自由が丘の街づくりについて、地域の方々へ提案しました

2020年2月17日(月)、自由が丘会館(目黒区自由が丘)にて、「東京都市大学 学生による提案と研究の発表会 学生たちと考える自由が丘のまちづくり2020」(主催:本学、都市再生推進法人ジェイ・スピリット)が開催されました。

今年で5年目を迎える同発表会は、街の活動・景観について研究する都市生活学部・都市プランニング研究室(指導教員:末繁 雄一講師)が、自由が丘をフィールドにして行った調査・研究を、地域へ提案することで将来の街づくりに貢献することを目的としています。

当日は、地域のまちづくりに関わる地域住民や商店主、専門家、株式会社東急などの参加者約20名を前に、発表と意見交換を行いました。

第1部 4年生による卒業研究発表
テーマ:VR技術による市街地空間における活動景観表現に関する研究

発表者:井上雄太

自由が丘地区の街づくりにも有効である、VR(仮想現実)技術を使った街づくり計画の支援システムの開発とその性能評価について発表しました。公共空間を計画する時に欠如しがちな場所の「使われ方」や「活動風景」に着目し、人の活動(アクティビティ)を含んだシミュレーションシステムを開発しました。仕様については、「空間の再現性が高く、没入感が高いこと」「アクティビティの写実性が高く、シミュレーション構築が容易であること」、「操作方法が直感的であること」の3点を設定し、街づくりの実務家に評価を依頼しました。研究を通して、人の活動を含んだシミュレーションシステムの実用性・有効性は明らかになりましたが、仕様や表現方法については、今後も改良が必要だとしました。

第2部 3年生による未来提案「JIYUGAOKA 2070」
イントロ:2070年ライフスタイルと自由が丘

発表者:小倉康太、岩崎俊樹

提案①②の前に、50年後の社会像やライフスタイルについて、研究室の学生間で検討した結果を報告しました。人口推移に関する統計、海外で増えているアドレスホッパー(※1)およびインターネットの発達によるテレワーカー(※2)、ノマドワーカー(※3)といった存在を考慮し、将来の住環境、仕事環境は場所を特定しない住み方、働き方になると予想しました。また、商業を含む遊ぶ環境においても、電子商取引(EC)の発達から、物販をメインとした商業活動の需要は減り、体験重視の時代になるとしました。加えて、自動運転、MaaS(※4)などが一般的になることを想定し、交通の多様化と交通量の増加を予想しました。
こうした未来社会を考える上で、現状の自由が丘には、①自動車対応を含む交通対応、②多様なライフスタイルに対応したコミュニティスペースの創出、③ワーキングスペースの整備に課題があるとし、自動車等と歩行者との危険をなくし交通量の多くなる社会に対応すること、今の形にとらわれない仕事・商業環境に対応すること、人々のコミュニケーションを補うワーキングスペース、コミュニティスペースが求められることとしました。

(※1)特定の住居を持たずに、国内外を移動しながら暮らすライフスタイルの人。
(※2)情報通信技術(ICT)を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態の人
(※3)スマートフォン、タブレット端末などを使い、通常のオフィス以外のさまざまな場所で仕事をする人
(※4)あらゆる公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステム

提案①
テーマ:らしさを駆使せよ!

発表者:井口ケイ、今嶋優貴、岩倉稜太、小倉康太、山下直城

自由が丘の街の特長を、①回遊性の高さ、②シンボル的なコミュニティ空間である九品仏川緑道の存在、③商店街にあるとし、回遊性、コミュニティ、商店街の各未来を想定して、「コミュニティ×ワーキングから創る未来の都市」をコンセプトに、街づくりを検討しました。土地の統合、緑道の拡張といった大胆な都市開発を行った上で、自由で活発な活動および共同生活ができる空間として「ミックスゾーン」を作り、自由が丘らしい雑多性や賑わいを生み出すことを提案しました。また、自由が丘に合ったMaaSの構築として、街中を走る自動運転車のシェアや、ヒトとモノを運ぶための両機能を備えた車など、未来のモビリティシステムを追求しました。

提案②
テーマ:㎡→㎥~らしさを1段上げるまち~

発表者:岩崎俊樹、内川さとみ、粳田修哉、佐藤悠、高橋風優人

未来の生活や次世代モビリティといった未来に必要な街づくりと、街歩きの楽しさや安らぎを与える空間といった自由が丘における理想の街づくりから、「㎡→㎥~らしさを1段上げるまち~」をコンセプトに50年後のあるべき姿を追究しました。テクノロジーの発達した時代でもあえて来てもらえるような特別な空間として、①安全かつ快適に過ごせる空間づくりとしてグランドレベルを2階に引きあげて人と乗り物の通行を分けること、②街の回遊性を高めるために建物間をスロープでつなぐこと、③未来の生活に合わせた環境を創るため、住居と商業空間の隔たりをなくし生活者を増やすこと、④賑わいの創出のためにコミュニティスペースを確保することを提案し、長く愛され続ける賑わいと機能性をそなえた街を目指しました。

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