東京都市大学
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地域社会との連携に関する取り組み

活動報告

対話型講座 第4回「私たちが描く未来の環境都市」を開催しました

本学・二子玉川夢キャンパスにて連続して開催中の対話型講座「私たちが描く未来の環境都市」も、10月14日(金)で全6回の4回目を迎えました。今回のテーマは、「生物、生態系からみたまちづくりと都市環境」です。

これまで、環境に配慮した都市をどう作るかを考えてきたうえで、今回は、生物や生態系といった観点からさまざまな講演がおこなわれました。

まず、青山学院大学教授で生物学者の福岡伸一氏の講演では、「動的平衡」をキーワードに生命を捉え直し、生命とは何かを考えました。

これまで、生命の源である細胞は機械論メカニズムで捉えられていた一方で、「生命は機械ではない、生命は流れだ」との言葉を残したのは、シェーンハイマーという科学者です。

実際、生物が毎日食べ物を取り入れることで、原子のレベルでは肉体は次々に入れ替わっていき、1年間で物質的には別人になると言えるそうです。このように、相反する作用が絶えず均衡するのが「動的平衡」です。

一見、まちづくりとはまるで遠いこの理論から、どのようにディスカッションが展開されていくかが、今回の講座のポイントとなりました。

続いて、環境省・大臣官房会計課長の鳥居敏男氏の講演が行われました。生態系に欠かせない水を中心に、人口が集中している、東京と神奈川でどのように水道水源が守られているか、という話からさらに、都市と農山漁村がどう共生していくかに話が及びました。

最後に、ライフスタイルの転換を図ることで、森里川海をつなぎ、自然の恵みを将来世代にわたって引き出していける、真に持続可能な循環共生型の地域社会を創造する提言が紹介されました。

そして環境学部の田中章教授からは、開発と保全のバランスを図るために、開発で失われた自然の損失を、ほかの場所で同様な自然を復元、創造、増強などすることで、生態系の損失をできるだけ緩和する行為の必要性を説き、“里山バンキング”が提案されました。

その後、涌井史郎特別教授によるまとめで、鳥居氏と田中教授の講演と福岡氏の講演の関連が指摘された後、パネルディスカッションが始まりました。

鳥居氏が、水や人や情報などの流れの中でゆるやかにつながる、動的な出入りが都市に必要であることを指摘すると、福岡氏からも、世界に境界を引くのが人間の癖でありながらも、自然は全体としてよどみなく動いており、広い視点を持つことの重要性が語られました。

聴衆からの質疑も交えつつ、福岡氏が話した「動的平衡」をキーワードに話題は大きく膨らんでいきました。これまでの講座の中でもパネルディスカッションの時間を多く割いたことで、対話型と銘打ったこの講座がより実りあるものになってきています。残すところ講座はあと2回、議論のさらなる深まりに期待したいところです。

■関連リンク

第1回 開催模様

第2回 開催模様

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