東京都市大学
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地域社会との連携に関する取り組み

活動報告

対話型講座 第3回 「私たちが描く未来の環境都市」を開催しました

9月16日(金)、本学・二子玉川夢キャンパスにて、全6回の3回目となる対話型講座「私たちが描く未来の環境都市」、テーマ「心豊かな文化都市とは」を開催しました。

今回はこれまでと少し趣向を変え、豊かさや文化を感じられる未来都市をどのように作っていくのかという点について、さまざまな観点から講演がおこなわれました。

まず、1977年より京都に在住し、東洋文化研究者としてご活躍中のアレックス・カー氏による基調講演では、外国人の方から見た日本の都市について、特に観光という観点から興味深いご指摘がありました。

人口減少を問題ではなくメリットと捉え、増える空き家をリサイクルして活用する例が写真とともに紹介されました。人口減少や空き家の増加を武器として地方創成に活用する取り組みは、多くの聴衆の関心を引き寄せました。一方で、ハコモノ行政の失敗例も挙げられました。ユーモアとウィットに富んだカー氏の話に、聴衆の表情にも笑みがこぼれました。

また自ら、300年前の庵を購入し、ミシュランの星がつく観光地に育て上げた話は新鮮なことばかりで、日本が観光立国としてさらに成長できる可能性を感じさせるものでした。美しいたくさんの写真とともに語られる話は、日本を見る新たな視点を与えてくれました。

続いて、人間科学部教授で、医師でもある早坂信哉教授が、「お風呂・温泉を活用して幸せになる」をテーマに講演をおこないました。静岡県での3000人の県民を対象とした調査結果からは、毎日お風呂に入っている人のほうが、自分自身をより健康と感じ、睡眠が良く、幸福度が高いという、興味深い結果が報告されました。

また、熱海市との研究では、温泉が高血圧や悪玉コレステロールを改善する可能性があるという結果も出ているそうです。毎日のお風呂という暮らしに密着した話題だけに、聴衆の関心も高まりました。お風呂や温泉を、幸せな文化都市を形成する地域資源として考えてはどうか?という提案で講演は締めくくられました。

続いて、環境学部環境創生学科の宿谷昌則教授が「からだ・建築・都市そして地球-心を豊かにする環境づくりを考える」と題した講話で、人生の90%を過ごす建築環境が都市を考えることに関わってくることを説明、カー氏の茅葺き屋根の古民家というパッシブな温熱環境と時間デザインが、人の心理と生理、そして健康に密接に繋がっているという点で早坂教授のお話しへと繋がりました。

その後、質疑応答を中心としたディスカッションでは、積極的に質問をする聴衆の姿が見られ、「心豊かな文化都市」に対する興味、関心が深まりました。

最後にカー氏が、古民家を現代に合わせて快適にリフォームして活用するように、さらに新しいお風呂の形のための分析を提案したことを受けて、早坂教授も既存のお風呂の見直しもひとつの可能性と話しました。一見、遠い内容の話であった二人の講演が、「心豊かな文化都市」という点で見事にまとめられました。

より生活に身近なテーマとなった今回から、この後第4回、第5回、第6回とどんな風に議論が深まっていくか、期待が膨らみます。

■関連リンク

第1回 開催模様

第2回 開催模様

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